お金を貯めよう

阪急電車

本書は片道わずか15分のローカル線、阪急電車の今津線を舞台にした物語です。

たまたま同じ電車に乗り合わせた人との出会いが、人生を思わぬ方向へと導く様子が描かれています。

例えば、ある女性は、5年付き合い、婚約までしていた恋人を寝取られ、妊娠されて、結婚へと持ち込まれます……。

またある女性は、暴力を振る恋人と別れなくて悩んでいました。

またある大学生カップルは、電車内の何気ない会話がきっかけで、カップルとなるのです。

それぞれの乗客の人生が、たまたま乗り込んだ電車内で一瞬だけ交錯することにより、良い方向へと変わっていく。

そのわずかな時間に起こる「奇跡」に、心を奪われ、いつの間にかワクワクしながら物語を読み進めている私がいました。

印象に残ったのは、恋人を盗られ、結婚までされた女性が、彼らの結婚式に、わざと白い服を着て乗り込むシーンです。

彼女の覚悟と悔しさが心の奥底まで伝わってきて、読んでいて涙が出ました。

しかし、阪急電車での出会いが、彼女の新たな人生に素敵な影響を与えてくれそうな予感もあり、希望が持てる展開でもありました。

阪急電車は、気品や落ち着きがあり、やはり特別な沿線なのかもしれません。

学生の頃、よく宝塚を観に行ったので、とても懐かしい気持ちになりました。

人生は、どんなに辛くても、どこからか援護射撃が飛んでくることもある。希望を忘れずに強く生きようと、明るい気持ちで本を閉じることができました。